見どころ

蒼山 日菜 Hina AOYAMA

ヴォルテール 2009年
ヴォルテール 2009年
神馬(しんめ) 2013年
神馬(しんめ) 2013年
クリスマスシーン 2013年
クリスマスシーン 2013年
蒼山 日菜

 多くの作品は、繊細でまるでレースのように、どこまでも一枚絵のようにつながっています。制作は自らの身の回りの状況や出来事をヒントにしています。下絵はシャープペンシルのHやHB(0.3mm)で、切る紙に直接描きます。今回の代表作「Voltaore(ヴォルテール)」は、1行半を切るために、約5時間半もの時間が掛かったそうです。通常は作品の真ん中あたりから切り始め、最後に周辺を切る。ところが本作は、作品の右側からはさみを入れたそうです。

井出 文蔵 Bunzo IDE

一寸法師 2004年
一寸法師 2004年
駆けよ子うさぎ 1995年
駆けよ子うさぎ 1995年
春らんまん狸合戦 1998年
春らんまん狸合戦 1998年
井出 文蔵

 切り絵の定義を『全てが繋がっていなくてもよく、白黒だけでなくても色を使っても構わない』とします。ただし、今回の出品作は一枚もので繋がっています。本展でのテーマは民話です。作品のアイディアを考え、面白くどう見せるかと言う事を考え、そこに力を入れたそうです。アイディアと下絵が決まると、二、三日を要して、デザインカッターで切り上げるそうです。

酒井 敦美 Atsumi SAKAI

春の羽根 2016年
春の羽根 2016年
順光
春の羽根 2016年
春の羽根 2016年
逆光
夢との旅 2012年
夢との旅 2012年
順光
夢との旅 2012年
夢との旅 2012年
逆光
酒井 敦美

 一つの切り絵が、二つの表情を見せます。「一画二驚」(いちがにきょう)と言う技法(作風)で試行錯誤を続け、現在も日々、研究を続けています。二 つの表情の中に、物語やメッセージが込められています。それは日記のようで、日常における気持ちを描きます。作品からは優しさと温もりが伝わってきます。今回の代表作は「春の羽根」です。冬の木に後ろから光が当たり、満開の桜が羽根のように浮かび上がってきます。

関口 コオ Koh SEKIGUCHI

近松心中物語 2000年
近松心中物語 2000年
白い月 2006年
白い月 2006年
ひまわり 1982年
ひまわり 1982年
関口 コオ

 「描く、切る為の下絵を作る、切る・貼る」の手法をもとにしています。下絵と黒和紙を重ね合わせて、切っていきます。色付けには、色和紙とアクリル絵を用います。貼る台紙はイラストレーションボードです。代表作である「近松心中物語」は、黒和紙の中から肌の部分を切り抜き(肌の部分はボード地)、女性を描く際はこの手法がメインとなります。輪郭線を強調せず、女性特有のやわらかさを表現します。額の生え際から切り進め、まぶたや唇へ、繊細な切り口をつなげています。

辰己 雅章 Masaaki TATSUMI

キツネの嫁入り 2008年
キツネの嫁入り 2008年
赤ずきん 2009年
赤ずきん 2009年
羅漢さん 2010年
羅漢さん 2010年
辰己 雅章

 辰己さんは「色々な技法、技に目を奪われるのでなく、絵を見て欲しい」と言います。テーマを“童話”と決めてから、レイアウトを考え、紙を探しました。「キツネの嫁入り」は空の青い色、白い雲の色ぼかしに適する和紙を取り寄せました。キツネも切り抜いた後に、裏から色和紙をあてています。作品はカッターナイフで切り抜いています。

筑紫 ゆうな Yuna CHIKUSHI

無題 2016年
無題 2016年
無題 2016年
無題 2016年
無題 2012年
無題 2012年
筑紫 ゆうな

 切り絵を始めてから、大小さまざまなものを作りましたが、現在は“縦長”のこのサイズ(縦77cm、横34cm)がしっくりきているそうです。作品の特徴はモダンでお洒落。制作工程は、まず全体の構図を考えて、ざっくりとした下絵を描く。その後、各パーツごとに作り込みを進めます。例えば、「花」であれば単色の紙を使って花びらごとに、絵の具や色鉛筆、クレパスなどで濃淡やボカシをつけます。それらを貼り合わせて、完成させます。基本的にはハサミを使いますが、細かな切り込みでは、一部ペンカッターを用います。

睨 瑞良 Mizuyoshi NII

光陰の理~ときのことわり~ 2006年
光陰の理~ときのことわり~ 2006年
薔薇色の季節 1999年
薔薇色の季節 1999年
四天王 持国天王 提多羅沌吨 2002年
四天王 持国天王 提多羅沌吨 2002年
睨 瑞良

 優美な女性や花鳥などを、見事に表現します。今回の代表作「光陰の理~ときのことわり~」は、 “世の中はとどまっていない。日々変化をしている。人の感情も変わる。人を愛していても、信じきれない時もある”という思いをこめました。「作品を観て、自分の思いどおりに解釈してほしい」とも語ります。作品はすべてカッターを使い、切れ目がなくすべてつながっています。完成までには作品によりますが、約1~2ヶ月かかるそうです。

林 敬三 Keizo HAYASHI

七人の侍 2009年
七人の侍 2009年
妖精 2008年
妖精 2008年
アクアリウムメモリー・3 2016年
アクアリウムメモリー・3 2016年
林 敬三

 林さんの技法を、彫紙(ちょうし)アートといいます。重ねた紙の上から、アートナイフで彫る絵画的とも言える表現です。離れて見ればシルクスクリーンの様にフラットに、作品に近づくと紙が幾重にも見えます。重層的で奥行きを感じさせます。一番多く重ねた紙の枚数は102枚で、厚さ2cmが最高です。下絵には細かく番号をつけ、本のように一辺を綴じて下層部の深いパーツから彫っていきます。紙はファンシーペーパー(洋紙)を使用します。

百鬼丸 Hyakkimaru

武田信玄 2014年
武田信玄 2014年
花魁蕗氏(ふきじ) 2014年
花魁蕗氏(ふきじ) 2014年
無言殺剣火縄の寺 2006年
無言殺剣火縄の寺 2006年
百鬼丸

 小説の挿し絵と本のカバーを中心に、プロデビュー後は10,000点余りを制作しています。切り絵作家としては、立体、平面、ライブ制作など幅広い活躍です。今回の代表作「武田信玄」の制作工程は、最初に構図を考え、下絵に取り組みました。まずは50cm四方の下絵を作って拡大コピーし、縦249cm、横163cmという大きな作品に仕上げました。和紙を用いて、カッターで切り進めます。肌の部分は、切り抜いています。

福井 利佐 Risa FUKUI

KIRIGA 2 2013年
KIRIGA 2 2013年
carpⅣ 2016 2016年
carpⅣ 2016 2016年
Rabbit  girl(こどもの時間) 2016年
Rabbit girl(こどもの時間) 2016年
福井 利佐

 今回の代表作「KIRIGA 2」も大胆な構図でありながら、繊細できめ細やかな描写を通して、生命力や躍進感を生みだし、観る者を圧倒させます。従来の切り絵のイメージとは異なり、独自の方法で新たな切り絵の可能性を追求しています。大まかな制作工程は作品の構想を練る→写真や資料を見て、下絵の構想をまとめる。鉛筆でデッサン→ペンや筆ペンなどで下絵を完成→下絵を切り抜き、色紙の上に置く→下絵に基づいて、下絵と色紙を2枚同時に切る→切り抜いたら、上に敷いた下絵を取る→下の切り抜いた紙が完成品→色を付ける場合は、切り抜いた裏側から色紙をステンドグラスのように貼る、となります。

柳沢 京子 Kyoko YANAGISAWA

抒情する蛍 1992年
抒情する蛍 1992年
浅間を駆ける 2005年
浅間を駆ける 2005年
奈良井の雨 1977年
奈良井の雨 1977年
柳沢 京子

 独自の創作で、長野県を“本来の美しい風土にしたい”と情熱を燃やしながら、活動を続けています。今回の代表作「抒情する蛍」の制作過程は、◇構図(デザイン)を決める◇作品には、柿の渋エキスで薄い和紙を張り合わせた渋紙を使う。片面を黒く染め、片面は渋色のまま◇渋色の面に下絵を描いて刻む◇切り絵の上に、透明アクリル(水を通さない)を置いて、その上に和紙を置く◇和紙に霧を吹くと、切り絵が浮かび上がる◇そこに彩色する◇渋紙の切り絵に、表具師が和紙を表装して完成です。切り絵は全てカッターナイフで刻んでいます。